解決事例
CASE 1
ご依頼内容
『相続した共有持分を、他の共有者が買取ることをご希望』
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ご依頼者様Aさん=持分10分の1
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共有者Bさん=持分10分の9
ご依頼時の状況:借地権付き建物の共有。不動産利用者はBさんのみ。
Aさんは、利用していない不動産であるのに、その不動産の固定資産税などを支払わなければいけないことにリスクを感じたため、共有持分を手放し、できればBさんに買取ってもらい、現金化したいと考え、ご依頼されました。
▶︎まずは、当事務所の弁護士が、Bさん側と連絡を取り交渉を行いました。
【交渉結果】
『買取り』については合意
『買取額』については合意に至らず
『買取額』が合意に至らなかった理由
Bさんの弁護士から提示された買取単価は14万円ほどでした。当事務所の弁護士は、その額は、一般的な市場価格に比べ安価であることに、すぐに気が付きました。
おそらく、Bさんの弁護士は、低額での買取りをしようと考え、一般的ではない路線価を基準とした算出額を提示したのだと思われます。 そのため、『買取額』については納得できず合意に至りませんでした。
▶︎買取額について合意できなかったため、訴訟提起を行いました。
【訴訟提起の目的】
Bさんが不動産を取得する代わりに、BさんからAさんにその取得分(10分の1)に相当する金額を支払ってもらうこと(代償分割)
【争点】
交渉段階で合意に至らなかった買取金額
当事務所の対応
当事務所の弁護士は、不動産案件の経験が多いため、借地権割合を考慮したとしても一般的な金額ではないと、すぐに気づいていたため、提携している不動産会社に市場価格での査定を依頼しました。
そして、その査定書を裁判所に提出しました。
【裁判所の判断】
当事務所が提出した査定書をもとに算出される単価が、適正であると認める。
【適正な単価による買取額】(簡易的な数字にしています)
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適正な額=600万円
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Bさん側の提示額=300万円
裁判の結果、適正な買取額は、Bさん側が提示したものに対し、約2倍でした。
Aさんの持分が10分の1ではなく、もっと多かったとしたら...損失額は大きいものになると想像ができます。
もしも、不動産について経験が少ない弁護士が担当していたら、買取額の低さにすぐに気づけずAさんに不利益を起こしていたか、途中で気づいてもAさんの負担を増やしていたと考えられます。
判決が出たのち、無事に、Aさんに適正な買取額を得てもらうことができました。
また、当事務所では、判決後も引き続き、持分の売却手続や登記の手配も行いました。
公平に共有状態を解消することができ、Aさんの希望に沿った解決ができ、よかったです。
CASE 2
ご依頼内容
『離婚をきっかけに、住宅ローンが残っている不動産の売却と共有の解消をご希望』
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ご依頼者様Aさん=持分2分の1
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共有者Bさん=持分2分の1
ご依頼時の状況:土地付建物の共有。ローンはAさんの口座から引落し。不動産利用・維持費の支出はBさんのみ。
AさんとBさんは、2人で購入した家を2分の1ずつ共有していましたが、離婚を機に、Aさんが家を出ていました。
一方的に家を出てしまったAさんは、Bさんとの話し合いに踏み出せず、長期間、そのままローンを払い続けていましたが、Bさんのみが自宅に居住していることに、段々と不公平さを感じるようになりました。
そこで、ローンの支払いを無くし、共有状態も解消することで、Bさんとの関係の整理もしたいと思い、ご依頼されました。
【当事務所のご提案】
『ローンの支払いを無くす』ことについて、ご依頼時の状況や、双方の経済事情から下記をご提案
ⅰ 土地付建物(共有する家)を全て売却し、売却額を分ける(換価分割)
ⅱ Bさんも、売却することに合意した場合は、最終的な登記の手配も含む売却サポートをさせていただく
▶︎ご提案のⅰについて、Bさん側と交渉を行いました。
【交渉結果】
・売却することに合意
・不動産の、査定により算出された売却額の分配について、以下①②ともに合意
①ローン残高を、売却額から返済
②売却額-返済額=残りの売却額、は、Aさんが取得する
この合意を求めた主な理由
住宅ローンの支払い=Aさんのみ。
不動産の使用=長期間はBさんであり、維持費や税金の支払いがあるとしても、売却までのAさんの負担とを照らし合わせると、①②とも妥当であると考えられたから。
また法的には、共有物を単独で使っているBさんに対して、Aさんは、Aさんの持分の賃料相当額の請求を考えられる状況だったから。
▶︎交渉で話がまとまりましたので、売却サポートを進めました。
【売却サポート】
(実際の流れとサポートの一部です)
提携している不動産会社に、不動産の査定依頼
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査定に基づく売り出し価格についてAさんとBさんとの間で調整
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売却時期の調整(Bさんは引越しが必要であることも考慮)
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仲介業者を選定し、買主を募集してもらう
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<早期に、買主がみつかりました>
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売買契約の手続きをサポート
・売買契約書、重要事項説明書のチェック
・売却後のトラブル回避のための調整
たとえば、
『売却後の瑕疵担保責任はBさんが負う』ことに同意してもらう
この同意を求めた主な理由
不動産の使用=長期間はBさんであるため、不動産そのものに不備があった場合は、Bさんが責任を負うのが妥当であると考えられたから。
以上のような調整などをさせていただき、売買の準備が整い、決済となりました。
そして、住宅ローンの抹消登記申請を、提携している司法書士に依頼し、共有状態も解消されました。
その後、交渉で決められたとおり、住宅ローンの残高を、売却額から返済し、Aさんが返済後の残りの額を得ることができました。
このような売却サポートまでを行うことで、Aさんにとっての問題解決が、終結を迎えられたと思います。
可能な限り、Aさんの希望に沿うことができ安堵した事例でした。